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オーナー座談会
確定申告と節税対策、そして今後の課題

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  • 確定申告と節税対策、そして今後の課題

        

    (司会) もうすぐ確定申告です。オーナーとして節税の準備を整えておられることと思います。皆さんは「青色申告」をされているのでしょうか?


     (司会) まずは「なぜ青色申告なのか」というところからお話ください。

     


    Dさん 私は税理士から勧められました。私のアパートは世帯数が20なので「事業的規模」ということで、「65万円の特別控除」が受けられるというメリットがあります。これだけで税率にもよりますが、納税額に20万円くらいの差がでます。
    (税率30%(所得税20%、住民税10%)で計算しました)



    (司会) 事業的規模とは?

    Dさん 形式的な基準ですが「5棟10室」と言われていますね。貸家なら5棟、アパート・マンションなら10室以上が事業的な規模になります。

    Aさん 二つ目のメリットで「家族に支払う給与が必要経費になる」というのもあります。司会青色事業専従者給与ですね。

    Aさん そうです。僕の不動産所得(賃料収入から必要経費と特別控除を差し引いた金額)は年間800万円くらいですが、家内に年間300万円の給与を支払っています。もちろん家内には、帳簿付けなどの仕事をしてもらっています。計算によると、家内に給与を支払わずに僕が800万円の所得で申告する場合と、家内に300万円を支払う場合で、納税額の合計に65万円くらいの差が出ます。これは大きいですね。

     

    (司会) 給与を支払える相手に制限は?

    Aさん 賃貸事業に従事していることは当然ですが、「生計を一にしている親族」であることと「年齢が15歳以上」であることが要件のようです。

    Yさん もうひとつ、「赤字を繰り越せる」という大きなメリットがあります。僕の場合は開業当初は赤字になったのですが、その分は3年間繰り越せたので、税金が随分と助かりました。

    (司会) 白色申告は繰り越せないのですね。
    青色申告のメリットは分かりましたが、デメリットもあるのではないですか?

    Tさん 複式簿記で帳簿を作成しなければいけない、というのが大きなハードルと言われます。親族に給与を支払えば、所得税の源泉徴収や納税もしなければなりません。
    僕の場合は、家内が少しだけ簿記と経理の知識があったので助かっています。でも家内に言わせると、最初は難解に思えるけど、慣れれば難しいものではない、と言ってますね。

    (司会) 青色申告以外には、どのような節税対策をされていますか?

    Aさん 僕は必要経費を「漏れなく計上」するようにしています。
    たとえば車は、基本的には生活のために使っていますが、週に2日くらいは管理会社に行ったり現場に行くためにも使用しています。
    月に8日ですから、ほぼ25%は事業のために使っていることになるので、ガソリン代、駐車料、修理費、保険、自動車税、それから車両代金の減価償却分の4分の1は必要経費として計上しています。

    Yさん 必要経費は他にもありますよ。
    管理会社さんとの打ち合わせ時のコーヒー代や食事代や手土産代とか、僕はよくミスドのドーナツを差し入れます・・・(笑)。賃貸関連の書籍やセミナー参加費や交通費もそうですね。
    判断が難しいときは税理士さんに相談しますが、お中元やお歳暮、結婚式やパーティーなどの祝い金、忘年会・新年会の参加費、その帰りのタクシー代など、これらは事業の関連先であることが前提ですが・・・。マメに領収証をもらって相手先の名前をメモするようにしています。

     

    (司会) 節税対策では「法人化」が勧められますが、皆さんはいかがですか?

    Tさん 事業規模がまだ小さいので予定していませんが勉強はしています。

    Dさん どんな節税メリットがあるのですか?

    Tさん たとえば賃料収入から必要経費を差し引いた所得が500万円のとき、我々のような個人事業者の不動産所得は500万円になりますよね。
    これが会社だと、この500万円を役員給与として代表者(つまり僕)へ支払うことで会社の利益はゼロになり、法人税は課税されません。
    さらに僕は、500万円の役員給与から給与所得控除を受けることができて、その額は僕の場合だと154万円になります。これは、物件を会社が所有しているケースの話ですが。

    Tさん 事業を手伝っている家族が役員や社員になって給与を支払えば、さらに給与所得控除が増えるのでメリットは大きくなります。ほかにも、赤字を9年間繰り越すことができるとか、法人契約の生命保険を経費にできたり、社宅や出張費や退職金など、必要経費として計上できる幅が広がります。ただし、ある程度の不動産所得(2600万円程度といわれる)が法人化の目安のようです。


    (司会) さて最後になりますが、繁忙期と確定申告が終わって新しい一年が始まります。どのような計画を立てていますか?

    Dさん 今更ですが、しっかりと「収益計画」を作りたいと思っています。
    いままでは、毎月の収支は、管理会社からの報告で掴んでいますし、年間の収支も確定申告で知ることができますが、すべて「事後確認」です。アパート経営は事業ですから、事前に予算を立てるべきなんですね。そうすれば空室に対しても、家賃を下げるのか費用をかけるのか、予算に沿った判断がつくのではないかと思います。それと、帳簿上は所得があるのに、税金を支払うお金が足らなくて、個人の預金を取り崩したこともありました。
    そのようなことが起きないように,3年か5年間くらいの収益計画書を作って、「所得」と「キャッシュフロー」の予定額を把握したいと思ってます。

    Yさん ホントに、「勘定合って銭足らず」というのはありますよね。僕は年間の「納税予定表」というものを作り始めました。

    Aさん 納税予定表?

    Yさん そうです。
    1月から12月までの表に納付通知書の税額を書き込んでおくのです。1月は住民税とか、2月は固都税とか、3月は消費税とかです。そして年間の納税額を合計して12か月で割ると、納税のための毎月の積立額が明確になるので、「いざ」というときに慌てなくてすみます。

    Aさん お二人ともエライですね(笑)賃貸経営は、建物と入居者とお金の「三つの管理」が大切だといいますね。建物と入居者さんは管理会社にお願いできても、お金の管理は自分にしかできません。だから、大事な数字を把握しておくことは、自分自身でしっかりとやらなくてはダメですね。

    (司会) これからも「あるべき賃貸経営」に向けて頑張っていただいて、よい賃貸経営をしてください。有難うございました。

     

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