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単身高齢者に賃借するときの本当のリスクとは?

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  • 単身高齢者に賃借するときの本当のリスクとは?

        

    「住宅確保要配慮者」という名称をご存知でしょうか?
    「自ら暮らす住宅を確保するために配慮が必要な方たち」と定義されています。
    この中には高齢者だけでなく、低額所得者、被災者、障害者、子育て世帯も含まれます。この要配慮者に住宅を確保するために「住宅セーフティネット」という制度が2018 年10 月から施行されています。
    制度を簡略に説明すると、まず要配慮者の入居を拒まない貸主がその住宅を都道府県に登録します。すると都道府県は、要配慮者に情報を広く提供します。貸主のメリットは空室の解消です。
    家賃補助に月最大計4万円の支援を国や自治体から受けられるからです。さらに政府などの支援で老朽化した住宅の修繕が行い易くなります。しかし登録は伸びず1 月時点で全国で7277 戸となっています。伸びない理由として、貸主の57 %が「仕組みがよく分からない」と答えていること、手続きが煩雑なことが挙げられています。登録要件の「耐震性と25 ㎡以上の床面積」も貸主の負担を大きくしています。
    もし高齢者を含めて要配慮者を積極的に受け入れるなら「住宅セーフティネットへの登録」という選択肢もありますね。
    本題ですが、単身高齢入居者のリスクは「家賃滞納と孤独死」の2 点です。家賃の支払いについては、保証人をしっかりとること、貯蓄や年金の受給状況を確認することなどが必要です。もうひとつのリスクは「借主さんが亡くなる」ことです。ここでよく言われるのが「孤独死の発見の遅れによって事故物件となる」という事態です。たしかにその通りですが、借主が亡くなることによる本当のリスクは別にあります。実は借主が亡くなっても賃貸借契約は終了しません。借家権は相続されます。もし第一相続人のお子さんが契約解除に合意してくれれば何の問題はありません。しかし関係性が薄いと面倒に関わりたくないので「相続放棄」される場合があります。その場合は第二相続人の両親や第三相続人のご兄弟に交渉することになりますが、探すのに時間と手間がかかりますし、さらに相続放棄されることもあります。最後は相続財産管理人にお願いすることになりますが、ここに至るまで半年から1 年は経過してしまいます。その間は荷物も片づけられないし募集もできないワケですが、これが「借主が亡くなったとき」の最悪のシナリオになります。
    つまり「契約解除」と「残置物処理」の問題が一番のリスクなのです。契約解除ができないリスクに関してはという方法があります。



    家財道具などの荷物のリスクに関しては、あらかじめ「残置物放棄の書類」をもらっておくという方法があります。本誌で連載している司法書士の太田垣氏は「家財道具一式を廉価で大家さんが買い取っておくとよい」と話されています。家財道具等の所有権は貸主に移りますが、使用権は居住する限りは借主にある、という条件です。退去のときは希望するなら同額で売り戻すという特約をしてもよいでしょう。
    また「発見が遅れるリスク」を避けるために、朝刊や乳酸飲料を大家さんがとってあげる、のも良いと思います。照明器具などの室内設備に「入居者を見守らせる技術」も実用段階に入っているようです。いまが50 代のご夫婦でも、どちらかが亡くなり年月が経てば、やがて70 代の単身高齢入居者となります。いまの入居者さんがやがて高齢者になっていくのです。これは賃貸経営で避けて通れない課題です。これから高齢者を積極的に迎い入れるのでしたら、本当のリスクを知って、その対策も考えて賃借するようにしてください。

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