賃貸Q&A
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2021年4月号 コロナ時代で重視すべき賃貸経営のポイント
コロナ時代で重視すべき賃貸経営のポイント
「これからの賃貸経営で重視すべきこと」を考えるとき、答は大きく2つに分かれると思います。1つは「本来は募集や管理を任されてる不動産会社がやるべきこと」です。
たとえば、コロナ禍でネットの問合せや内見申し込みを増やすことが重要視される中で、写真の枚数を多くするとか、コメントで物件の魅力を十分に伝えることが必須である、という指摘がありますが、これなどは不動産会社の役目ですよね。大家さんの仕事は、そういう要望をしっかり伝えて、出来ているかどうかを確認する、ということになります。
対して2つめは、「大家さんご自身が決断すべきこと」です。もちろん実施するのは不動産会社ですが、そのためには大家さんの決断が必要な改善項目です。今回はそんな重視すべきポイントについて考えさせていただきます。「これからの賃貸経営で重視すべきこと」を考えるとき、答は大きく2つに分かれると思います。1つは「本来は募集や管理を任されてる不動産会社がやるべきこと」です。
新型コロナによって変化した借主の要望の中で一番大きいのは“リモート適正”でしょう。仕事でも個人でも「リモートで出来ることで特に問題がないことは意外に多い」ということに多くの人が気付きました。これはコロナが終息しても完全に元に戻ることはないでしょうから、賃貸住宅への「リモート適正要望」は残り続けるはずです。その具体的な要望とは、
などです。
「ネットが使える」だけでなく「安定した速度」への要望が生まれました。大家さんの決断としては、建物内にネット設備を敷き込む、さらに各部屋まで敷き込む、月々費用を負担して「ネット無料」とする、などになります。
ここで「無料にすることが一番」と言えるなら簡単なのですが、「もっと速く」と望む借主さんの要望を満たさない場合があるので単純ではありません。「速いネット業者を選んで月々費用は無料とする」のが借主にとって一番嬉しいことですが、大家さんの経費が増える分を、賃料や入居率に反映させることができるのかが検討課題になります。物件タイプや立地によって借主の要望が異なりますので、どの選択が良いかは不動産会社と相談して決断すべきと思います。
「リモート用の居室スペースが欲しい」という要望に対しては、リフォームかリノベーションしか基本的な対処方法はありません。もし築年が15年から20年を過ぎて「リノベ適齢」を迎えている物件なら、プランニングに「リモート対応」を組み込むことを検討すべきでしょう。
今までのリノベは「小さな部屋を統合して大きなスペースに」という流れでしたが、あえて小さなスペースをつくるとか、4.5畳などの不人気だった部屋をあえて残す、というアイディアが生まれました。そのようなリノベ事例が増えるかもしれませんね。逆に大がかりな工事をしなくても、北側4.5畳のような築古の物件でも綺麗にすれば要望を満たせます。このあたりは従来の人気物件と不人気物件の線引きに変化をもたらす要因になると思われます。
今月の賃貸業界ニュースで取り上げている「住みたい街ランキング」で分かるとおり、借主の要望が“勤務先への利便性”から“広さや住みやすさ”に優先順位が移りつつあります。
これもリモートが増えたことによるニーズの変化です。この時に借主が求める条件には「リモート適正」や「広さ」だけではなく、立地重視の時は諦めていた「時間に拘束されないゴミ置き場」「屋根付きの駐輪スペース」「十分な収納スペース」「作業スペースを備えたキッチン」などの、今までは“ちょっと贅沢”と考えていた要望も含まれてきます。ご所有の物件で、そのような条件を満たすことが可能かどうかも、新型コロナで変化した借主ニーズへの対応策のひとつになります。
まだまだ先行きの読めない状況が続きますが「賃貸住宅に住み替える」という借主がなくなる訳ではありません。かえって有利になるというケースもあるでしょう。ご所有の物件に最適な対応策を不動産会社と一緒に考えてください。