2022年7月号 田中 2022年賃貸住宅業界の上半期を振り返る | さいたま市の賃貸は株式会社 別所不動産にお任せ下さい!

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2022年7月号 田中 2022年賃貸住宅業界の上半期を振り返る

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  • 2022年7月号 2022年賃貸住宅業界の上半期を振り返る

        

     週刊誌やビジネス誌に執筆するライターのA記者と不動産業界向け新聞のB記者、不動産ネットメディアの編集を手がけるC記者の3名で、2022年の賃貸住宅業界の前半のトピックスを語ってもらいました。



     マンションを使った相続税対策について争った裁判は、関係者の間に驚きが拡がったね。

     相続税対策として購入したマンションを父親から相続して、路線価をもとに相続税を0円と申告した相続人が約3億3000万円を追徴課税されたため、取り消しを求めて国を訴えていました。4月19日に最高裁が相続人の上告を棄却しました。相続税の計算は路線価を使うものというのは不動産業界の常識ですから、それをもとにした相続税対策が否定されたことは一般紙でも大きく取り上げられましたね。

     そもそも0円で主張したものが約3億3000万円の課税になるのだから、差額が大きすぎますよね。なぜ、こんなことが可能なのでしょう。

     もともと国税庁には路線価と実態が大きく離れているときは路線価とは別に不動産価値を計算してもよいという例外規定があるんです。

     税務関係者には国税における「伝家の宝刀」と呼ばれているんだよね。実は今回、原告は相続におけるルール違反は全くしていない。だけど、行き過ぎた節税策だと税務署が目を付ければ、ちゃんと課税されてしまうんだね。

     今回の最高裁の対応で、宝刀の効果にお墨付きが与えられたと考える人も多いようです。

     節税対策として不動産を購入するのは昔からある相続税対策ですよね。さらに最近は「タワマンは節税になる」と喧伝する企業もあり、買う人も多かったと聞いています。もう、全く使えなくなってしまうんでしょうか。

     そうとも言えないという専門家が多いようです。今回は、相続発生の3年前に賃貸マンション2棟を14億円近い金額で購入していて、相続が発生すると申告期限前にすぐ売却しているんです。露骨な租税回避行為に国税も無視できなかったのでは、と予想されています。

     とはいえ、何をもって露骨となすかは微妙なところ。明確な基準を求める声があがっているようだね。ギリギリを狙う人は後を絶たなそうだから、イタチごっこが続くのかもね。




     シェアハウス「かぼちゃの馬車」に動きがあった。この事件はどうなっているんだっけ。

     2018年にシェアハウス「かぼちゃの馬車」の販売会社が倒産し、オーナーへサブリース家賃が支払われなくなり社会問題化しました。被害者弁護団が結成され、デモ活動などを経て融資先だったスルガ銀行と、代物弁済という異例の形で和解しました。

     代物弁済とは不動産をスルガ銀行に引き渡すことで借金を帳消しにするということです。
    946人と和解、借金総額は1485億円にものぼります。スルガ銀行に返還された物件数は1213棟とされています。

     そして、スルガ銀行名義のシェアハウスをアメリカの投資ファンド・ローンスターが順次取得していくと発表があったわけだ。それによると「2022年3月までに“かぼちゃの馬車”物件約1200棟を700億円強で取得」とあるね。

     物件取得後にはファンド傘下のハドソン・ジャパン(東京)が「TOKYO β(トーキョーベータ)」という事業名で運営するようです。何しろ、首都圏を中心に1万4000室以上あるので、安定的に入居者を確保できるのか不明です。

     かぼちゃの馬車の時は地域の管理会社に丸投げで、約200社がバラバラに管理していて運用状況も良くなかったと言われています。今回は業界大手の管理会社が参加し、スマホで物件検索できる仕組みと解錠できるスマートロックを導入したりして、管理の手間を削減しつつ利便性も高めるようです。

     肝心の賃料はどのくらいとれるのだろうね。

     周辺相場より安く2万円~10万円台を予定していて、敷金なしで気軽に入居できる体制をつくると言われています。しかし、室内の壁は薄くて居室は狭いです。かぼちゃの馬車の運営会社だったスマートライフ社自身が、上京してくる人向けに「短期間の居住を狙う」と言っていたくらいです。かぼちゃの馬車は販売価格の1/3程度の価値しかないものもあるらしいです。本当に腐ったかぼちゃを再生できるのかは未知数です。取材を続けたいですね。




     5月に改正宅建業法が施行。不動産の電子契約が全面解禁されて大きな話題になりました。

     これまでは紙への署名・押印と書面の交付が必須でした。今回の改正でオンラインで契約手続きが完結できるようになったんですよね。

      施行日にあたる5月18日には不動産テック企業が日経新聞に全面広告を出して注目されたね。でも、ネットでの契約業務に対応できる不動産会社はどれくらいあるんだろうね。

      不動産会社にとっても、ペーパーレスで業務効率は上がると思いますしコストも削減できるはず。ただ、エンドユーザーの希望によってオンラインと対面の両方で対応するとなると、規模の小さい会社は大変かもしれません。
    実際、業界紙のアンケートでもそれほど前向きでない企業も少なくないようです。

      たとえばネット銀行は、スマホで口座振込ができる利便性で普及していても、いまだにATMに並ぶ人も多いですよね。不動産の契約業務は銀行の取り引きより回数は少ないですから、なおのこと「対面でもいい」と思う人も多いかもしれません。

     電子契約は長い間実証実験が続けられていたよね。事業者、エンドユーザーともに「賃貸はまだしも、売買はやっぱり直に会って対面」という声はかなりあったらしいよ。だけど、コロナ禍で対面自体が難しくなって、オンラインの重要事項説明で契約完了できることで価値を見出した人もいたみたいだね。

     とにかく選択肢が増えたことはエンドユーザーにとっては良いことだと思います。




     YouTuberやゲーム実況者向けの賃貸住宅を企画した管理会社がいて面白いと思いましたね。

     YouTuber向け賃貸とは、動画を作成しやすいようにした部屋ということかな? 一体どういった工夫があるのかな。

     周囲の部屋に迷惑がかからないように防音性に配慮していたり、照明を取り付けられるレールが設置してあったりするようです。

     やはり、撮影しやすいように考えてあるわけだね。ところで「ゲーム実況」って何だい?

     Aさんの疑問はそこですか?(笑)。ゲーム実況とは、ゲームしているところをネットで実況中継するんです。パソコン用ゲームが多いですが、ニンテンドーなどの家庭用ゲーム機でもやっています。人気の実況者の中継は数万人が同時視聴していることも珍しくなくて、有料会員を集めたり、投げ銭をもらったりして数千万円を稼ぐ人もいます。女優でファッションモデルとして人気の本田翼(ほんだつばさ)さんもゲーム実況者として220万人もの登録者を集めています。(2022年初め現在)

     ああ、だから本田翼さんはゲーム用チェアのCMに採用されたんだね。でも、ゲームをプレイするのではなくて、ただ見ているだけの人がそんなにいるとは驚きだね。しかも、大金まで稼げるとは、さっぱり理解できないよ。

      ゲーム実況者向けの部屋としてはネット回線の速度が最も重要です。都内の管理会社では高速回線を配備した部屋をゲーム実況者向けに貸し出したら、周辺相場より3割高でも入居が決まったそうです。これから、もっと増えそうですね。

     ネット回線の速度は重要になってくるね。




     上半期の大きな話題としては、不動産業界の闇を暴くと評判の漫画「正直不動産」がNHKでドラマ化されました。主人公・永瀬財地を演じたのは人気俳優の山下智久さんで、大きな話題になりましたね。

     随分前からドラマ化の噂はありましたが、不動産業界の悪習や不正の手口をテーマにした内容なので民放テレビ局では制作できず、NHKに落ち着いたとも言われていますね

     スポンサーに配慮したということか(笑)。でも、不動産業界内の評判も良かったようだね。
    口八丁で契約のためなら嘘をつくのも厭(いと)わない不動産営業マンが、不思議な力で嘘がつけなくなってしまい、正直な営業だけで頑張ることになる。それでも、あきらめずに営業する姿勢が爽やかで面白かった。不動産取引の基礎知識も分かりやすく学べたよ。
    SNSでは、続編を期待する声も多かったようだね。主演した山下智久さんに負けずに、我々も爽やかで粘り強い取材を続けていきたいね。

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