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2020年9月 田中 大学オンライン授業が賃貸需要に与える影響

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  • 大学オンライン授業が賃貸需要に与える影響

        




    コロナ感染拡大を受けて、一部の大学は夏休み明け10 月からの後期日程でも原則としてネット活用した遠隔授業をすすめることを表明しています。学生向けの賃貸住宅市場にも影響がありそうです。

    文科省は全国の大学(高等専門学校も含む)を対象に、教室に集まって行う「面接授業」と、ネットの「遠隔授業」の実施率を調査し717 日に発表しました。結果は面接授業と遠隔授業の併用が60.1 %で最も多く、次いで遠隔授業のみが23.8 %、面接授業のみは16.2 %しかなく、8 割以上の大学が遠隔授業を行っていることがわかりました。さらに立教大学や青山学院大学など一部の大学は10 月からの後期日程においても、原則として遠隔授業のみ行うと発表しており、他の大学も同様の授業形態を検討中のようです。
     すでに小・中・高校では面接授業を再開しているにも関わらず、なぜか大学は及び腰です。

     ある教育関係者は「大学が遠隔授業を進める背景には、京都産業大学(京産大)の悪夢が脳裏にあるから」と解説します。京産大の悪夢とは同校の卒業祝賀会でクラスター(感染集団)が発生したことを指します。この会に出席した生徒12 名がコロナに感染し、最終的に12 府県で54 人以上に感染拡大したと言われています。
     この件が大学クラスターと報じられ、管理体制や学生の意識の低さがネットなどで激しく叩かれました。全く関係ない学生や卒業生までアルバイト先への出勤を拒否され、学校には脅迫電話もあったそうです。
     こうした事態を受けて遠隔授業を採用する大学が増加し、なかにはキャンパスへの入場を禁止する学校も出始めました。前述の教育関係者は「感染が拡がっていない地域の大学でも『もし県内初のクラスターを発生させてしまったら』と考えると(面接)授業はこわい。どんなバッシングをされるか想像もできません」と慎重にならざるを得ない心情を語ります。



    このような背景から後期日程も遠隔授業中心の大学が多くなると予想されるのです。
    関西地方のある管理会社は、数少ない学生需要を逃さないように一部の空室をマンスリーに変更するなどの対応を始めるようです。

     不規則な大学の授業日程を意識してのことです。「実は4 月に入学しても実家に留まっていたり、すでに下宿を引き払った学生はいつ大学近くに引っ越すべきか迷っています。地元の大学は今後の(授業方式の)方向性を発表していませんが、必ず学生の受け皿は必要なのでオーナーと相談してマンスリー契約を増やす予定です」(管理会社の社長)
    賃貸住宅を引き払う学生がいる一方で大学の中には学生寮を減らし、民間の賃貸住宅への転居を推進する動きもあります。

     学生寮の多くは2 ~ 3 人による相部屋のため、コロナ感染が拡がる可能性を考えて一人暮らしにシフトしようというわけです。新聞報道によると京都女子大学(京都市)では3 人部屋だった寮を1 人部屋に変更したため、入寮予定だった315 人分の部屋として賃貸住宅など14 施設を確保したそうです。学校が必要な電化製品を用意し寮費との差額分も負担するそうです。追随する学校もあると思われます。

     オフィスや飲食店だけでなく、学校生活にも新しい生活様式が必要になるのは間違いありません。学生街の賃貸住宅市場も大きな変化の真っ只中にあるのです。大家さん、管理会社ともに地域の大学の動向を注視しながら素早い対応が迫られています。



     

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