空室対策
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2022年4月号 トラブルと空室は共通している
現場スタッフに「大家さんの収益を守るための賃貸管理」について話し合ってもらいました。
「空室とトラブルの多い物件は共通している」という意見があります。皆さんどう思われますか?
空室とトラブルの原因は別ものではないでしょうか。空室の原因は、立地、間取り、設備、築年数などの物件概要だったり、家賃や礼金やフリーレントといった募集条件などが大きな要因でしょ?
上手に募集されていないとか。笑
賃貸で起こるトラブルは、建物や設備に問題があるとか、渦中の人に原因があるケースが多いですよね。そもそも原因が異なると思いますけど。
もし建物や設備の原因でトラブルが多く起きてるなら、それは解決しなければなりませんね。貸主さんは安心して暮らせる住居を借主に提供するのが義務ですから。一方で、そのようなトラブルの多い物件に入居したがる人はいませんから、それが空室につながる、とも言えますよ。
でも建物・設備には寿命がありますから借主さんに迷惑をかけるトラブルをゼロにはできません。
ゼロにはできないけど、借主さんの迷惑を最小にする努力は必要です。故障を未然に防ぐための点検や、事前の修理もできますから、やはりトラブル防止と空室とは無関係ではないでしょう。
トラブルの多い物件は空室リスクが高いのは事実ですね。内見中にトラブルの要素を感じた人は決めてくれないし、入居してもすぐに解約されてしまいます。そこに因果関係はあると思いますね。
管理スタッフにとってトラブルと空室は大敵です。この2つに共通する因果関係とは何です。
トラブルが多い物件の共通点は、「管理状態が悪い」ということです。集合ポストの周りにDMやチラシ等が散らばっている、自転車の置き方が整列されていない、ゴミ集積所に粗大ゴミが放置されている、玄関前の通路に雑誌や子供自転車のような私物が置かれたままになっている、共用部分が全体的に汚れている、などの状態です。
管理スタッフとして恥ずかしいことばかりです。
いや、しっかり管理されていれば防げることですよ。だから「良い賃貸管理」が必要なんです。
でも、なぜ管理状態が悪いことがトラブルの多い物件を生み出すのでしょうか?
良い環境で暮らしたいと望んで入居した人は、悪い管理の状態にはクレームを言うか退去してしまうでしょう。そこまでの意識がない方は、例えば、玄関前の通路に不要になった雑誌の束を置いている入居者がいて、それを誰も注意しないという現実を見たら、「ならば自分もいいかな」と、軽い気持ちで置き始めます。自宅内で邪魔な荷物を見なくて済みますし、スペースも空きますからね。それが蔓延していくことで物件全体が「だらしなく」なっていきます。
これは、入居ルールを守ることが苦手な人には好都合ですね。類は友を呼ぶといいますから。
家賃滞納などの悪質な借主にとっては、さらに好都合な環境になるかもしれません。家賃以外の督促状などの郵便物は見たくないので放置しても、誰も目に留めないでしょうから。
ルールに無関心という環境は、犯罪者にとっても住みやすい条件になってしまうかも。
そこまで言うと過剰に心配しすぎ、と思いますけど……。ただ、管理状態を悪くしたまま放置すると、我慢できない人は脱出して、容認できる人たちが残り、トラブルを増やし空室を増やすという、悪い循環は理解できます。
空室対策というと、家賃を下げる、お金をかけることを思い浮かべますが、行き届いた管理を継続することで、入居率の向上や、滞納やトラブルの少ない物件に育てていくことができますね。結果的に長く住んでくれる人が増えて、ますます入居率が高くなり、優良な入居者が集まるという、良い循環に転換することができます。
手前味噌の対談になってしまいましたけど、私たち管理スタッフの責任も大きいですね。
結論としてトラブルと空室には密接な因果関係があり、良い方向に持っていくには「適切なルールと管理」が必要、ということになりますね。
それが、借主さんに長く住んでもらえるうえで最も効果のある手段です。