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2024年9月 賃貸物件(貸室)の商品づくりとは? 齋藤

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  • 2024年9月 賃貸物件(貸室)の商品づくりとは?

        

    賃貸物件(貸室)の商品づくりとは?


     賃貸経営されるオーナー様の目的はさまざまです。たとえば相続税対策もそのひとつです。でも、たとえ土地や建物の相続税評価を下げることができたとしても、赤字経営でよいわけではありません。赤字の不良資産を受け継いだ子や孫は大変ですよね。なので、さまざまな目的のオーナー様に共通している目標は、「収益を挙げ続けること」なのです。では、収益を増やすにはどうすればいいでしょうか? 家賃収入を増やして運営コストを減らせばいい。シンプルで正しい答えですが具体性に欠けますね。そこで今回は、収入を増やすための「賃貸物件という商品づくり」というテーマでお話しします。

    賃貸物件(貸室)は商品である。

     ご所有の賃貸物件および貸室を「商品」として考えたことはありますか? ふだんは意識していないかもしれませんが、そもそもの「商品」について、少し考察してみましょう。
     たとえばラーメン屋さんなら、お客様に食べていただくラーメンが商品ですから分かりやすいです。毎日、お客様の前でラーメンを作る店主(オーナー)は、一所懸命に“商品づくり”をしています。一方で、アルバイトもラーメンを作っていますが、彼がやっているのは“作業”です。商品づくりと作業は、見た目は同じようですが、完成品には、わずかでも差が生まれるものです。店主(オーナー)は、目の前のお客様に美味しいものを提供しようと汗をかいているので、差が生まれて当然なのです。ところで、ラーメン屋さんの商品は「美味しいラーメン」だけではありません。店の雰囲気、注文のしやすさ、提供されるスピード、接客対応なども商品です。さらに言えば、店の外にできる行列や、ラーメンづくりのパフォーマンスさえも商品といえるかもしれません。繁盛しているお店は、これらの総合力で支持されているわけです。

    良い商品の条件とは?

     さて、賃貸物件(貸室)という商品について考えましょう。良い商品としてすぐに思い浮かぶのは、「築年数が新しい」「最新の設備」「収納が多い」「ゆったりした共用スペース」「見栄えのいい外観」「最寄りの交通機関から近い」などですね。これらは良い商品の条件に違いありませんが「絶対条件」ではありません。なぜなら、対象となるお客様(借主)と提供価格(家賃)が、商品づくりの大前提だからです。前述のラーメンなら、低価格だけど分量が多く脂っこさがファンに支持されている人気ラーメン店でも、高級住宅街をかかえる駅立地では苦戦します。逆に2000円のラーメンでも、対象に合致した商品なら通用するのです。だからこそ商品づくりには、まず「対象となる借主層の設定」が欠かせません。その方たちが容認できる立地か、間取りか、築年数かを考えて決める必要があります。そして、その借主層に合った家賃設定や初期費用の条件や入居審査の条件を決めていきます。築年、立地は変えようがありませんので、設定した家賃の収入予想範囲で、対象が最も求める、設備の入れ替えや簡易なリフォーム、場合によっては間取り変更を伴うリフォームなどを検討する、という順序ですね。

    前味、中味、後味とは何か

     商品の提供で、「前味(まえあじ)、中味(なかあじ)、後味(あとあじ)が大切」という説があります。商品をただ売っておしまい、というわけではない、という教えです。賃貸経営では、募集から内見の段階で、この部屋で暮らす良いイメージを与えるのが前味(まえあじ)でしょうか。このために、前述した、借主層に合わせた賃貸条件やリフォームなどの検討が効果を発揮します。後味(あとあじ)は、退去したあとの関係性になるので、賃貸経営では、それほど重要ではないかもしれません。一番に重要なのは中味(なかあじ)。つまり入居期間中のサービスという商品力です。この満足が高ければ、(合意更新の地域では)更新のときに、家賃の値上げ交渉が可能になるでしょうし、何よりも「不要な退去」を防ぐことにつながります。入居している期間が永くなるわけです。サービスという商品は、対象とする借主層によって内容は一律ではありません。ただ、共通の認識として、共用スペースがいつも小ぎれいになっていて、設備等のトラブルに迅速に対応してくれて、共同住宅のルール違反には厳格に対処してくれるという、暮らしやすい環境を提供するサービスが万人に求められています。この中味(なかあじ)は、賃貸経営の商品づくりに大切な要素なのです。
     賃貸物件(貸室)は借主に提供する商品である、と考えることが大事です。私たちの賃貸管理も、オーナー様に提供する大切な商品です。オーナー様の商品を顧客に選んでもらい、使い続けてもらう商品づくりが収益最大化の近道ではないでしょうか。

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