賃貸経営塾
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管理会社のスタッフが語った「付き合いやすい大家さん」
お互いに信頼関係を築くことが管理の秘訣
先日管理会社に勤務してる仲間の集まりがあり、懇親会で「どんな大家さんがお付き合いしやすいか」という話しで盛り上がりました。後日、親しい大家さんにその時の内容をお話したところ、「普段不動産屋さんの本音を聞く機会がないから、話てくれてとても良かったよ」とお礼を言われました。「みんな聞きたいと思うよ」というこの大家さんの言葉に後押しされて、思い切って今回皆さんにお伝えしようと思います。
連絡が付きやすい大家さん
管理会社仲間から、付き合いやすい大家さんとして一番最初に声が上がったのが「連絡が付きやすい大家さん」です。最近のお部屋探しの方はたくさんの情報を取捨選択しているので、良い物件が見つかっても、要望等にすぐ回答しないと次の物件を探しに行ってしまいます。後で回答したときには熱が冷めていたり、既に別の物件に申し込みしてしまっていたりします。「自宅の他に、携帯電話、メール、LINEなど複数の連絡手段を教えてくれている大家さんは、平日は携帯、夜は自宅の電話、22時以降は携帯、それでも繋がらなければ奥さんへ、という風に連絡がつきやすい先を教えてくれているので、管理スタッフ全員で共有しています。空室の紹介を安心して出来るし、申し込みも取りやすい」と言っていた仲間がいましたが、確かにそれはやりやすいだろうと思いました。
連絡が付きにくくても、工夫してくれている大家さんがいる」と言ったのは別の仲間です。入居者さんから一番多い交渉は賃貸条件の部分で、家賃の値下げや家賃発生を遅くしたいなどですが、「仕事をしてるので連絡は付きにくいけれど、入居希望者から交渉があった際の裁量をこちらに与えてくれている大家さんがいて、それはとても助かっている」という事でした。「家賃は〇〇円までなら下げてよい」とか、「入居希望日が遅い場合は1か月までならフリーレントを付けてよい」などと、こちらで判断できる交渉枠を頂いているとのことです。しかし、「例えば3,000円の枠を頂いていても、1,000円値下げで決まると思えばそうするという、信頼関係がなければできませんよ」とも言っていました。これは私たちがもっと努力する部分でもありますね。
現地をちゃんと見てくれる大家さん
続いて声が多かったのが、「現地をちゃんと見てくれる大家さん」です。「強風が吹いた次の日に必ず現地に行って、落ち葉を片付けて下さる大家さんがいらして、そこはいつ急な案内が入っても安心できる」と言っていた仲間がいました。清掃を委託されている物件でも、当然それは毎日ではないため、雨風で共用部がいつもより汚れてるときに、大家さんが先回りして綺麗にして下さるそうです。「毎回、今日行って綺麗にしておいたからね!と電話が来るのでプレッシャーもかかるけれど…」という言葉に仲間たちが苦笑いしたのですが、「でも、綺麗にしてもらって有難いと言う気持ちの方が強いので早く決めたいと思う」というセリフにみんな大きく頷いていました。駐輪場の乱れを直して下さったり、集合ポストの周辺のチラシゴミを見て下さったりする大家さんには、「頭が上がらない」と言うのが全員の意見でした。やはりコミュニケーションが出来ていると、管理会社のスタッフも張り切るんだと思います。大家さんと協力しながら、二人三脚でやっているという感じが嬉しいのです
「前の人が長く住んでいたり、大きな設備交換があって高額なリフォーム見積もりになる時は、現地を一緒に見てもらった方が理解してもらいやすい。」「写真では伝わらない部分も実際見てもらうと、これはそろそろ交換だねと分かって頂ける。」などという意見が出ていました
お店に顔を出してくれる大家さん
三番目は、「お店に顔を出してくれる大家さん」でした。「うちは大家さん対応の仕事は担当制なので、普段大家さんの自宅に伺うのは1人だけ。でも、たまにお店に来て下さる大家さんは社員みんながお顔を覚えていて、担当がいなくても◯◯さん!と声をかけている。そういう大家さんの物件はなぜか決まりやすい」と言っていた仲間がいました。お顔が分かる大家さんの物件は、決めたいという思いが強くなるものです。
「忙しいときに急にお見えになるとゆっくり話せなくて申し訳ないので、いらっしゃる前に教えてくれる方が良い」と言う意見と、「いつも急にお見えになるけど、こちらの状況を見て忙しそうだからまた来るよ!と言って下さる大家さんは、こちらも仕事に集中できて助かる」という意見には、みんなが両方ともに頷いていました。
提案を真剣に聞いてくれる大家さん
そして、私がこれから大切だと思ったのは、「提案を真剣に聞いてくれる大家さん」です。私たち管理会社は、大きく変化する入居者ニーズを一番感じられる立場にいて、その変化についていかなければ自分たちの仕事も上手くいかなくなるという危機感を持っています。そんな中で、長いおつきあいの大家さんにも今までとは違う提案をすることがあるのですが、「新しいことを提案するのには勇気がいるけれど、最初は提案に躊躇しても真剣に聞いてくれて、やってみようと言ってくれる大家さんに対しては、こちらもその提案を絶対に成功させようという気合が入る」と言っている仲間がいました。「仮に提案が通らない時でも、真剣に聞いて検討していただけると、また別の方法を考えよう、という気持ちになる」ともこれは正にその通りで、築年数が少しずつ古くなる中で建物の価値を維持するためには、新しいことにチャレンジする必要があり、真剣に聞いて下さる大家さんにはこちらも提案や相談がしやすいです。変化の時代を乗り切るパートナーとして、とてもありがたい存在なのです
大家さんと良い関係を結びたいというのは、どの管理会社の仲間も同じでした。ときには勇気を出して、大家さんと管理スタッフがお互いに本音を話すことも、よりよい賃貸経営のためには大切ですね。