2019年8月秋元 民法改正まで8か月!連帯保証契約が大きく変わる! | さいたま市の賃貸は株式会社 別所不動産にお任せ下さい!

TOPページ
賃貸経営塾
2019年8月秋元 民法改正まで8か月!連帯保証契約が大きく変わる!

賃貸経営塾

  • 民法改正まで8か月!連帯保証契約が大きく変わる!

        

    改正民法の施行がいよいよ来年の4 月1日に迫ってきました。今回は賃貸物件の大家さんに関係の深い、連帯保証人に関する改正点について、注意するポイントを順番に見ていきたいと思います。


     一つ目の注意点として、個人の連帯保証人に支払ってもらえる金額が「最大でいくらまでなのか」を、契約時に取り決めなければならなくなりました。
     改正民法では、その上限金額(極度額といいます)を契約書に記載しなければ、保証契約は無効(改正民法465 条の2)となってしまいます。つまり滞納等があっても連帯保証人に請求できなくなります。その極度額の適正値については法律上で規定はありませんが、例えば「極度額は1 億円」などと記載すると、公序良俗違反となり無効とされる恐れがあるそうです。あまりに高額だと連帯保証人のなり手がいなくなるという問題が出てきますので、賃料の2 年分前後の設定を大家さんに提案する不動産会社が多くなりそうです。連帯保証人に連絡する頻度が一番高いのは、家賃滞納を代わりに支払ってもらいたい時だと思いますが、何度も滞納を繰り返して毎回連帯保証人が肩代わりして支払っている場合、極度額はその分どんどん減っていくことになります。

    たとえば家賃が10 万円で極度額が240 万円の契約の時、ダラダラと滞納する借主に連帯保証人が10回肩代わりして支払っていたら極度額は140 万円に減ります。退去の際などにもっと多額の保証債務が発生したときでも140万円を超えて連帯保証人に請求することはできなくなります。滞納常連者には注意が必要ですね。

     二つ目の注意点は、改正民法では借主が死亡した場合はその時点で連帯保証人の保証すべき額が確定されてしまい、それ以降に発生した損害等は保証対象外(改正民法465条の4)と定められたことです。借主の死亡と同時に連帯保証契約が終了します。借主が亡くなった際は、今まで以上に事後対応を素早く行う必要が出てきます。たとえば借主が亡くなり同居の配偶者が住み続ける場合、その後の配偶者の滞納については連帯保証人に責任を問えなくなります。
    この場合は新たに連帯保証人を立てる必要がありますので、葬儀が終わって落ち着いたら速やかに配偶者に通知して応じてもらわなければならないでしょう。知らずに放置してしまった場合、何かあった時に以前の連帯保証人に連絡しても「もう自分は関係ない」と言われかねません。

     三つめの注意点は、連帯保証人から問い合わせを受けたときは、大家さんは借主の家賃の支払状況について遅滞なく回答するということ(改正民法458 条の2)が義務づけられたことです。滞納額が高額になっていることを連帯保証人が知らず、「もっと早く知っていれば対処できた」と司法に訴えたケースで保証人側が勝訴したこともあり、今後は連帯保証人が早めに何らかの手を打てるようにと改正されたのです。改正後は連帯保証人から家賃滞納状況についての問い合わせを受けたときに、個人情報だからと情報提供を断るようなことがあれば義務違反になってしまいます。今までの習慣で「借主に聞いて下さい」などとお断りすることが無いようにしなければなりません。

     四つ目の注意点は店舗や事務所物件を持っている大家さんだけに関係があるものです。店舗や事務所等の事業用物件の賃貸借契約の際に、事業をしている借主が連帯保証人に対して自分の財産の状況などを開示すること(改正民法465 条の10)が義務づけられました。これが大家さんに何の関係があるか?というと、借主がこれを怠った場合、連帯保証人に「そんな状況を知っていたら連帯保証人にならなかった!」と連帯保証契約を取り消される可能性があるのです。借主が連帯保証人に対して「きちんと商売を続けて家賃を支払っていける状況である」ことを示した上で連帯保証人を引き受けてもらったのかどうかを、大家さんも確認しておく必要が出てきたのです。実務的には、事業用物件の賃貸借契約の際に大家さんが連帯保証人に、「借主さんの財産状況の開示を受けましたか?」と尋ねて、開示を受けた旨の書面に署名してもらうことになるでしょう。

     五つ目の注意点は重要です。今回の改正内容は新規契約でなく、改正前に締結された契約の更新後にも適用される可能性がある点です。連帯保証人に関する新民法の規定は、賃貸借契約だけのために改正されるのでは無いため、改正以前の賃貸借契約が更新後に適用されるかどうかは明文化されていません。しかし賃貸管理業界では、更新時に契約書を作成し連帯保証人に署名捺印をいただくという合意更新の場合は、改正民法が適用されるとの解釈がなされています。一方で更新時、連帯保証人に署名捺印をいただかない場合は自動更新となるため、引き続き旧民法が適用されるとの解釈がなされているのです。ここで注意しなければならないのが、既存の契約には極度額の記載がないことです。改正民法が適用される場合は極度額設定をしなければ保証契約が無効となってしまいます。「更新時の契約書に連帯保証人に署名捺印いただいたのに、極度額の設定がなかったため保証契約が無効になってしまった」という事態が起こり得ます。4 月以降に合意更新をする場合は連帯保証人に通知しても署名はもらわない、という方法が良いのではないでしょうか(自動更新の場合は問題ないと思われます)。

     六つ目の注意点は、民法改正とは直接関係はありませんが、民法改正の影響で利用が加速すると思われる家賃債務保証会社についてです。多額の極度額が示されることで連帯保証人が難色を示すケースが増えることが予測されるからです。家賃債務保証会社はたくさんあり、保証の内容も各社で異なります。連帯保証人と違って入居者の自殺や夜逃げに伴う損害額を保証しない会社も多くありますので、保証内容をしっかり理解して選ぶことが大切です。新しい法律が施行されるときは判例が出ていませんので、条文の解釈が専門家の間でも分かれている部分があります。管理会社でも会社ごとに対応が異なる場合もあるでしょう。4 月以降の対応について、私たち管理会社から大家さんにもご相談する場合もあるかと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
     

お知らせInformation

一覧はこちら
スタッフおすすめする

株式会社別所不動産

048-861-3333
営業時間:9:00~18:00
定休日:火曜日・水曜日