賃貸経営塾
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No.54「民法改正」設備故障時の賃料減額責任を明示
民法が120 年ぶりに改正され、2020 年6月に施行される予定となっています。賃貸住宅をお持ちの大家さんにも関係のある改正がいくつかあります。その中でも「敷金返還に関する改正」や「連帯保証人の保証
限度額についての改正」などはご存じのことと思いますが、実はもう1つ重要な改正があるのです。設備が故障した時の賃料減額責任を明示それは、エアコンや給湯器などの設備等が故障して使用できなくなった場合の「賃料減額」についての規定です。今までは設備が故障した場合、急いで修繕をするのは貸主としては当然の義務ですが、賃料を減額するのは当たり前ではなく、よほど修繕が遅れたり、入居者さんと揉めてしまったりした時に、入居者さんと話し合いの末に賃料減額という話が出るくらいだったと思います。それが新しい民法では、入居者から賃料減額請求をされなくても「当然に賃料が減額される」という内容に改正されます。では、当然に減額される金額はいくらなのか?というと、残念ながらそこまで改正民法には規定が無いので、施行までに賃貸借契約書の中に金額についての規定を盛り込む必要があるのです。
民法改正を踏まえて国土交通省では「賃貸住宅標準契約書」の再改訂を検討していて、その試案を公表していますが、その中にも具体的な金額は示されていませんでした。その考え方としては次のように解説しています。
一部滅失の程度や減額割合については、判例等の蓄積による明確な基準がないことから、紛争防止の観点からも、一部滅失があった場合は、借主が貸主に通知し、賃料について協議し、適正な減額割合や減額期間、減額の方法(賃
料設定は変えずに一定の期間一部免除とするのか、賃料設定そのものの変更とするのか) 等を合意の上決定するこ
とが望ましいと考えられる。