賃貸経営塾
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No.53 お部屋探しのお客様に”募集中の部屋”を見つけてもらう方法とは?
先日、アットホームというポータルサイト(お客様が賃貸物件を探すサイト)を運営する会社がお客様に向けて、「お部屋探しの際、ホームページで見たいと思ったものは何?」というアンケートを行いました。
先日、アットホームというポータルサイト(お客様が賃貸物件を探すサイト)を運営する会社がお客様に向けて、「お部屋探しの際、ホームページで見たいと思ったものは何?」というアンケートを行いました。
過去2 年以内に引越しをして、一人暮らしをしている全国の社会人1,113 人が対象です。このアンケートの「現在の部屋を探した際に、写真・動画で見たいと思った、または見て良かった部分はなんですか?」という設問の回答には居室、キッチン、風呂、トイレなどが並んでいるのですが、とても印象的なのは、どの項目も女性の方が男性
より割合が多いのです。例を挙げると、洗面所は男性34.2%に対し女性58.2%、収納は男性35.9%に対し女性57.0%という具合です。居室は男性もそこそこ高い割合を示していますが、その他の場所では男性より女性の方が20%程度高いようでした。お部屋を決めるのは女性と言われる中、男女でこんなにも違いがあるならば、私たちが撮影する物件写真も女性が見ることをより意識しなくてはならない、ということになります。
お客様が「見たい」写真が少ない
私たち不動産業者も、お部屋探しのお客様に紹介する物件を探すためポータルサイトで物件検索をすることがありますが、実は掲載されている写真に不満を感じることが少なくありません。見たい部分が写っていないと感じることが多いのです。しかし、逆に自分たちが物件写真を撮る時のことを考えると、あえて写さないようにしているマイナス要素があったり、プラス要素を撮りたくてもなかなか見つけられないという場合もあります。つまり、もっと根本的なことを考えれば、「お部屋探しの人が見たい写真が撮影できない物件には、見たくなる写真が撮れるようなリフォームを行なっていくべきだ」ということになります。ポータルサイトでお部屋を探す人は、「エアコン1 基あり」などの文字だけでは分からない情報を写真から得たいと思っているからです。そこで今回はポータルサイトに載せる写真について、一歩踏み込んでみたいと思います。 キッチン、浴室、トイレの場合 まずはキッチンから考えてみましょう。大抵の写真ではコンロの数や、魚焼きグリルがあるかどうか、調理スペースの大きさなどは分かりますが、吊り戸棚やキッチン下の収納の形やサイズが分からないことが多いです。鍋類や調理道具が今の住まいと同じような場所に収まるかが知りたいので、収納の内部に は関心があります。特に最近のキッチンは引き出し型の収納も増えたので、「今より物がたくさん収まりそう」というプラスの要素は是非写真で見せるべきでしょう。お風呂の写真も、窓があったり、浴室乾燥機のポールが2 本ついているなどプラスの要素が写っていないことがあるので「もったいない」と感じます。浴槽を新しくしたり、浴室乾燥機を付けた場合なども、写真でアピールしたいものです。
トイレの写真は、特に築古物件に残念なものが多いです。ただ古いだけの便器の写真を積極的に見たい人はいないと思います。もし温水洗浄便座が設置されていない場合は、せめてコンセントの有無が分かるようにするべきです。そしてもしコンセントが無いならリフォームの時に設置するべきでしょう。出来れば温水洗浄便座は設備として導入してその 新しさを写真でアピールしたいですね。トイレに窓があって換気がしやすいとか、棚が付いているので突っ張り棚は必要ないとか、デザイン性の高いトイレットペーパーホルダーがあるとか、なるべくプラスの要素を見つけて写真に盛り込みたいものです。
収納量の大きさを写真の中に表現する
洗面台も収納能力が気になります。洗面化粧台のミラーキャビネットの収納量は、化粧品類をたくさん持っている女性にとってはとても重要なのですが、三面鏡の全ての鏡が開いて裏側にたっぷり収納できるタイプなのに、鏡の扉を閉めたままの写真ではそれが伝わりません。洗面台を新しく設置したなら、その魅力がきちんと写真から伝わるようにし たいものです。各部屋の収納も、その内部がとても大切です。自分が今の自宅で使用している収納家具が使えそうかも見ておきたいですし、棚やハンガーポールがある場合とない場合ではそこに収納するものや収納の仕方が大きく変わっ てきます。今の住まいでクローゼットや押入れに収納されているものが、引越し先でもちゃんと収まりそうだと分かれば、それは大きなプラスとなります。写真が逆効果になる使いにくい収納ならば、やはりリフォームで解決すべきでしょう。玄関は何と言っても下駄箱の容量です。たくさん入るタイプなら当然内部も見せるべきで す。内部の棚が可動式ならそれが分かるような写真にするとよいと思います。そして万一入居人数に対して下駄箱が小さいならば、大きなタイプに変えることを検討した方が良いかもしれません。 お客様は写真に多くの情報を求めている バルコニーはどうでしょうか。洗濯物も室内干しが主流となりましたが、広いバルコニーは嬉しいものです。実際にはエアコンの室外機が置かれることも多いため、間取り図で見た広さのイメージと実際が違う場合もあります。広々と使えるバルコニーは写真でアピールすべきです。バルコニーからの景色が良いならそれも写真で表現したいですね。 最近のお部屋探しはポータルサイトが主流で、写真で関心を引かないと問い合わせがもらえません。広角レンズで撮影されたカッコいい写真をよく見かけますが、お部屋探しの方にとってはそれだけでは情報が足りず、機能など詳細がわかる写真も合わせて掲載するべきだと思います。そして、写真を撮りたいプラス要素が少ないと感じたら、それは「リ フォームなどで解決すべき」というサインなのでしょう。お部屋を探す人の目線を意識すると写真が変わり、写真を撮る際に足りないものに気づくとリフォームも変わり、結果としてお問い合わせが増えることになるのです。