賃貸経営塾
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No.30 いま、民泊が注目されている理由とは
民泊ビジネスとは 最近、話題になっている民泊とは、外国 人観光客を相手に、個人が住宅の空室やマ ンションの部屋などに「有料で」泊める行 為のことを指します。その背景には、日本 を訪問する外国人観光客が増えていて宿泊 施設が足らない、とい う事情があります。
民泊ビジネスとは 最近、話題になっている民泊とは、外国 人観光客を相手に、個人が住宅の空室やマ ンションの部屋などに「有料で」泊める行 為のことを指します。その背景には、日本 を訪問する外国人観光客が増えていて宿泊 施設が足らない、とい う事情があります。も うひとつは、予算面の 問題や、ホテルより畳 の部屋など「日本の文 化を感じたい」という、 外国人観光客の希望な ども挙げられのでしょ う。
一方の供給側にも、高齢化などにより 空き室が増えていることと、賃貸物件の空 室問題があります。実は、この民泊行為は旅館業法という法 律に触れています。この法律は、「有料で宿 泊させる場合は、フロントの設置や寝室の 面積など、必要な施設が一定の基準を満た さなければならない」、と定められているの です。この法律が一般に認識されていない ためか、空き家や賃貸物件の空室を、外国 人旅行客に短期貸しする民泊ビジネスが増 えていて、東京では逮捕者まで出る事態になってます。
今後は規制緩和の方向へ これに対して政府は、これからもっと増 やしたい外国人観光
客の宿泊先として活用 したい、という思惑があるので、民泊ビジ ネスを適正化していく考え
のようです。具 体的には、民泊に特化した新しい法律を制 定するか、現在の旅行業法を
改正して、営 業種別に「民泊営業」というものを追加す る案などが取りざたされています。
もちろ ん、現状の違法事例は取り締まりつつ、と いうことなので、いま 無許可で行うと、
見つ かれば指導されて、従 わなければ処罰される ことになります。
民泊 ビジネスを適正化する ルール策定は、2016 年 の秋頃までとも言われ ています。
国家戦略特区として、旅館業法 の適用が除外される地域を指定しています が、東京都
大田区と大阪府が名乗りをあげ ていて、2016 年から全国に先駆けて解禁さ れる予定です。
その場合でも、立ち入り調 査を実施し、滞在者名簿を義務化し、滞在 者のパスポートを
確認認させ、6泊7日以上の長期滞在を条件とする、などの制約を 設けています。
Airbnb(エアービーアンドビー) では外国人は日本を訪れる前に、どのよ うにして日本国内
の個人の空室を知るのか というと、それを仲介する事業者がいて、 インターネット上で簡単
に探せるサイトを運営しています。貸したい個人が自分の部 屋を、無料で簡単に登録する
ことができ、 その情報を全世界の人が見ることが可能な のです。その事業者の 代 表 格 は 、
Airbnb( エ アービーアンドビー)と言って、2014 年 5 年 に日本にも進出しまし た。すでに
日本国内で 2 万 1 千件もの「貸した い情報」が登録されて いるそうです。
たとえば 5 万円の貸室でも、 1 日 3000 円~ 4000 円で貸し出すと、稼働 率が半分でも
4 万 5 千円から 6 万円の収入 になります。7割の稼働なら 8 万を越す収 入になるので、
ただの空室対策というより、 積極的に収入アップを狙っているのです。 オーナーとしてどう
するか? さて、賃貸経営のオーナーとして、この ニュースを、どのように捉えればよいの
で しょうか。もし、規制の緩和を待って、空 室を外国人観光客に短期貸しした場合、ま ず
問題として考えられるのは、衛生面や宿 泊者の安全確保です。
犯罪が起きないか、 という観点での懸念もありますし、近隣ト ラブルの増加が予想され
ます。実際に報告されている事例には、部屋に調理の臭いが ついてしまい、多額の
リフォーム費用がか かってしまったとか室内でスーツケース を引きずったために、フロー
リングがボロ ボロになったとか、室内でパーティーのよ うに騒がれたり、という事態も
起こってい るようです。最悪なのは、優良入居者が退 去してしまうことでしょう。
もし、民泊を 活用するなら、大阪府の条例のように、滞 在者のパスポートを確認して、
一定期間以 上の 滞在しか受け付けない、等の取り決め を、最低でも実施する必要が
あります。そ んなことより、 「民泊なんかに貸さない!」 というオーナーさんも多いと
思われます が、もうひとつ、注意をしなければならないことがあります。
それは、賃貸物件の「不 正使用」です。 不正使用を許さない! いま、自分が住まない
のに貸室を借りて、それを外国人旅行者に転貸して、そこで収 益をあげる人たちがいる
のです。オーナー との賃貸借契約に違反して、さらに旅行業 法などにも触れる「ダブル
違反行為」です。 もし、その行為にオーナーが同意していた としても、旅行業法違反は
事実ですし、優 良入居者が退去してしまうなど、それによ って被害を受けるのはオーナー
です。その 人たちは、たとえば 5 万円で借りた部屋を 貸し出して、その差益を得よう
というので す。すでにインターネットでは、「それに よって 500 万円の収益を、毎月稼い
でいる」 と豪語している人も登場しています。「自 分も楽に稼ぎたい」という者が、後から
続 くのではと危惧されます。全国で頻発して いるほどの事態ではないにしても、その
よ うな輩(やから)は、これから、さらに増 えていくでしょう。
旅行業法や関連法のル ール整備によって民泊ビジネスが合法化さ れれば、さらに
増えることが予想されます。 入居する理由をしっかり確認して、入居審 査の徹底など、
水際での防御に気を付けな ければなりません。 積極的に活用するには さて、この
民泊を、空室対策として積極 的に「活用しよう」という考えもあります。
もちろん、民泊が合法化されていることが 前提です。たしかに、ホ テルや旅館以外の
宿泊先 を望む旅行者が増え、一 方で空き家や空室が問題 になっていて、両方を
簡 単に結びつける方法が存 在するのですから、旅行 者に民泊させるのは、双 方の
問題を解決する「策」 ではあります。もし観光地が近く、需要が 望めるような条件なら、
「一棟丸ごと民泊 物件」として活用することは可能でしょう。 大学が移転してガラ空きに
なった物件と か、社宅で貸していた建物が解約で戻って きた物件とか、あるいは一戸
建て貸家など は、この民泊は活用できるのではないでし ょうか。ただし、ファミリーや
カップル世帯向けの、一般の入居者さんが住んでいる物件で、外国人の民泊を併用
することは、 お勧めできません。 さて、「外国人旅行客のことなど自分には関係ない」
と思われるかもしれませんが、 賃貸経営のオーナーとして、この「民泊の 推進」という
事態が日本で進んでいること は、知っておいていただきたいと思います。