賃貸経営塾
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NO.26 賃貸経営に必要な数字とは
「賃料収入」の金額で計る。
「賃料収入」は、月ごとの動きや、年間収入を昨年と比較すれば、それなりの成績表にはなります。でも、賃料収入が高い水準だとしても、「入居状況がいいから」なのか「高い賃料が取れているから」なのか、原因がハッキリとは分かりません。そして、いくら賃料収入が順調でも、コストが高くなっていたら健全とは言えません。「どのようにすれば良いか」という改善点を見つけることができません。「賃料収入」の金額で計る。
「賃料収入」は、月ごとの動きや、年間収入を昨年と比較すれば、それなりの成績表にはなります。でも、賃料収入が高い水準だとしても、「入居状況がいいから」なのか「高い賃料
が取れているから」なのか、原因がハッキリとは分かりません。そして、いくら賃料収入が
順調でも、コストが高くなっていたら健全とは言えません。「どのようにすれば良いか」という
改善点を見つけることができません。
「入居率や空室数」で計る「入居率や空室数」は、その数値の「良し悪し」で、ある程度の判断
はできるでしょう。でも、根本的な対策を立てることはできません。入居率を高くすることは、
健全な賃貸経営へのステップのひとつですが、完全にイコールではありません。
そもそも、借主を確保するために家賃を下げ過ぎていたら、健全な経営に逆行しています。
なによりも入居率や空室数は、「そのとき」の瞬間しか判断できません。では、どんな数字で
計ればよいのでしょうか。「収益とキャッシュフロー」答えは、何といっても「収益」です。これが
「物件の実力」を正確に表現しています。
収益はご存知のように、「収入-運営費」で計算します。
賃貸経営にかかる運営費とは、
・固定資産税や保険料
・管理料や入居募集にかかる費用
・原状回復費用やリフォーム費用
などです。ただし、確定申告用の損益計算ではないので、運営費の中に「支払利息」や「減価償却費」は入れません。この収益を毎月算出すると、月ごとの推移を見たり、昨年との比較が
出来るので、賃貸経営の課題が見えてきます。収益が「賃貸経営の数字」の中で、なぜ一番
大事かというと、まず「物件の実力が-2-表されているから」です。不動産投資家が、物件の
「良し悪し」を判断するのは収益という数字です。決して満室時賃料ではありません。この収益が
「オーナー様の賃貸物件の価値」を決めます。
つぎの理由は、「収益を良くする行為と賃貸経営を健全にする行為がイコールだから」です。賃料収入を増やす、入居率100%を目指すのは、賃貸経営を健全にすることと「完全イコール」
ではないのです。では、この収益という数字から、どのような改善点を見出すのでしょうか。
その方法は3つです。
①賃料を高くする
まず、物件の魅力を高め、競争力をつけることによって、賃料条件を高く設定できるようにします。
②ロスを抑える
そして、空室や家賃の未回収などの、「本来得られた収入の阻害要因」をつぶします。
③コストを最適化する
余分なコストは使わず、必要なコストだけを効率よく使うようコントロールします。この3 つが、収益を高くするための行為なのですが、これはすべて、健全な賃貸経営を目指すことに
つながるので、ぜひ、収益を毎月算出してチェックしてください。
そして、もうひとつ大事な数字は「キャッシュフロー」です。キャッシュフローは、「収益-負債返済額」で計算します。負債返済額とは、ローン返済の利息と元金の合計額です。
いくら収益があっても、負債返済額が多すぎてキャッシュフローが足らなくては健全とは
いえません。その原因は、負債の割合が大きすぎるのか、借入条件が悪いかもしれ
ませんので、検討する必要があります。キャッシュフローが貯まってないと、グレードアップ
のための工事や、必要なメンテナンスを必要なときに実施できません。結果的に収益が
悪化します。
「ロス率と退去率」で計る前項の、収益を良くする3つの改善点の中に、「ロスを抑える」という項目がありましたが、それをコントロールするためにチェックすべき数値が「ロス率」
です。たとえば、満室のとき賃料収入が100万円だったとします。実際の賃料収入が
85万円なら、ロスが15%あったことになります。この数値を、出来るだけ小さくするために
「ロス率」を知ることは重要です。
「空室率と同じでは?」と考えがちですが、ロスの中には、申込時に値下げした分や、フリーレント等で家賃をサービスした分や、未回収となった家賃も含まれているので、
少し違うのです。この「ロスをいかに抑えるか」は、賃貸経営にとって重大なテーマです。
そのために「ロスとその内訳」を知ることは意味があります。賃料収入は「取った分」だけでなく、「取り損ねた分」を知って、それを防ぐ感覚が大切だと思います。最後の
数字は「退去率」です。健全な賃貸経営にとって退去を防ぐことは最重要課題の
ひとつです。それを計る数字として「退去率」があります。20戸のうち一年で3世帯が
退去したら、3戸÷20戸=0.15なので、退去率は15%となります。平均では、単身
世帯で30%、ファミリー世帯で20%くらいと言われています。ただしこの数字は、分母
の戸数が少ないと数字が大きく変動しますので、オーナー様が把握する数字としては、
率より「退去の実態」を注視した方がいいでしょう。仮に、ファミリー物件で、20戸のうち、
一年で6戸も7戸も退去するのは多すぎますので、原因がどこにあるのか、検討すべき
でしょう。
もし原因が、建物施設や入居者同士等にあるなら、改善しなければなりません。
賃貸経営は長期的な視野で考える必要があります。目の前の事態だけを重視しないために、正しい判断基準としての「健全度を計る数字」を決めて、定期的にチェック
することをお勧めいたします。